狐は豚に貢ぎたい

露文徒の雑記

プーシキン「大尉の娘」について

今回は1836年発表のプーシキンの小説「大尉の娘」(原題 : Капитанская дочка)です。

これは宝塚の「黒い瞳」ってやつですね。

「オネーギン」は韻文小説でしたけどこれは散文小説です。

あらすじ

退役軍人の息子である主人公グリニョーフはついに軍務に就く年齢になり、ペテルブルグでの楽しい生活を夢見ていたが父の計らいにより地方勤務になってしまう。勤務先に移動する際泊まった宿でズーリンという軍人と知り合い、その後大雪の中であるコサックに道案内してもらい、そのお礼にそのコサックに酒と長外套を与えた。グリニョーフの勤務先はオレンブルグ近郊にあるベルゴールスク要塞という小さな村のような要塞でイヴァン・グジミーチという大尉が司令官を務めていた。そこでグリニョーフは、決闘で人を殺したことで飛ばされてきたシヴァーブリンと大尉の娘のマリヤと仲良くなる。グリニョーフは、最初シヴァーブリンから大尉の娘のマリヤはしょうもない奴だということを聞かされいたのでマリヤのことをよく思っていなかったが、次第に仲良くなり恋心を抱くようになった。ある日シヴァーブリンに自分の詩を披露すると馬鹿にされたので喧嘩になり決闘することになった。実はシヴァーブリンはグリニョーフが着任する前にマリヤに結婚を申し込んだが断られていたためマリヤとグリニョーフが親しくなるのが嫌だったのだ。司令官たちの制止を無視して決闘を行った結果グリニョーフは怪我負ってしまい、それが親にも伝わってしまう。弁解しようとマリヤとの結婚を考えていると手紙を送ったが父親に猛反対され勤務地を移されそうになってしまう。グリニョーフとシヴァーブリンは閉じ込められていたが、プガチョフが皇帝を名乗って反乱を起こし、近くまでその手が迫っているという報告を受けてそれに対処するためグリニョーフたちも会議に加わることとなった。マリヤを他の街に移そうとしたが、すでに要塞の周りは包囲されており出来なかった。その後プガチョフの軍と戦うが敗れてしまい、シヴァーブリンはプガチョフ側に寝返り、司令官とその妻、グリニョーフ以外の将校たちは殺されてしまう。幸いにもマリヤは神父の姪だと嘘をつくことで難を逃れた。また、プガチョフはかつてグリニョーフが酒と長外套を与えたコサックであり、プガチョフはサヴェーリイチをみてすぐにグリニョーフだと気づいたためグリニョーフは処刑されなかった。グリニョーフはプガチョフの許しを得てオレンブルグに逃れるが、プガチョフは占領した要塞の新しい司令官としてシヴァーブリンを任命し、マリヤも神父の元に残されたままだった。グリニョーフはマリヤから助けを求める手紙を受け取り、オレンブルグの将軍に掛け合うが援軍は得られなかった。グリニョーフは一人で助け出すため、サヴェーリイチと要塞に向かうが途中でプガチョフの軍に捕まってしまう。グリニョーフはプガチョフに要塞に向かう理由を聞かれ70%くらいの事実を答えることで信用を得て一緒に要塞に向かうことになる。プガチョフはマリヤを監禁していたシヴァーブリンに怒り、グリニョーフにマリヤと他所へ逃れることを許す。二人は要塞を後にし、グリニョーフの実家を目指すが、途中で女帝側の軍にプガチョフ側の者だと思われ逮捕されてしまう。そこの将軍はかつて宿で出会ったズーリンだった。ズーリンをなんとか事情を説明し、マリヤとサヴェーリイチを実家に向かわせグリニョーフはズーリンと共にプガチョフ軍と戦うことになった。その後プガチョフ軍は敗れプガチョフたちは逮捕されるが、やっと実家に帰れると安堵していたグリニョーフもプガチョフに加担した疑いで逮捕されてしまう。グリニョーフは真実をすべて話せば弁明できたが、マリヤを巻き込まないために弁明を諦め、シベリアへの永久流刑が決まってしまう。マリアは自分のせいでグリニョーフがそうなってしまったことに気づき、一人で女帝に申し立てしに行こうとする。そこでマリアは一人の女性と出会い事情を全て話すが、実はその女性が女帝でありマリアの願いは聞き入れられ、グリニョーフは許され、二人は結婚した。

特徴・文学史上の意義

プーシキンはもともとプガチョフの反乱に関心があったらしくて「大尉の娘」執筆前に「プガチョフ史」っていう歴史書?を書いていたらしいです。

この作品ではプガチョフは結構主人公助けてていい人っぽく描かれているんですけど、そういうところからプーシキンが本当はプガチョフのことをどうみていたのかわかるかもしれません。

 

またこの作品は、明治時代日本で最初のロシア文学の翻訳「露国奇聞 花心蝶思録」として日本に持ち込まれました。

聞いた話によるとグリニョーフがジョン・スミスになっていたりシヴァーブリンがダントンだったり登場人物の名前がイギリス人風に改変されているんだとか、、、笑

感想

これはなんか露文科の指導教授が翻訳出したとかで授業で扱われたんですけど、すごく読みやすくて面白かったです。

「オネーギン」読んだときは正直最初の方つまんなかったんですけど、これを読んで改めてその面白さが分かったような気がします。

この作品は僕にロシア文学の違う見方を与えてくれましたね。

 

マリヤもタチヤーナみたいなTheお嬢様って感じでした。田舎の令嬢っていうのも一緒ですね。僕は好きです。

 

シヴァーブリンは気づいたら敵側にいるっていう、、、笑

変わり身早すぎて逆に面白いですね。

なんかこの作品所々でギャグ要素あるんですよね笑

 

 

 

白石聖を推してます